歴史部門:ワルシャワ蜂起1944(ノーマン・デイヴィス)

ナチスドイツがポーランドを苛烈な占領下においているところに、ソ連が攻め入ってきたタイミングで起きた1944年のワルシャワ蜂起に焦点をあてた歴史の本。

蜂起に至るまでのいきさつや周辺環境、前提知識を詳しく説明してあるのも良いし、また関連国の主要人物の行動や意思決定の経緯が詳細に記述されている。そして多数ある囲みはで個人個人(市民、国内軍兵士、ドイツ軍兵士……)の体験談が綴られている。とにかく、ポーランドの過酷な歴史と壮絶な蜂起の描写が圧巻だった。

歴史を知らずにのこのことワルシャワを観光していたのが恥ずかしいやらもったいないやら。絶対再読してワルシャワを再訪すると決めた。

パンデミック部門:白の闇(ジョゼ・サラマーゴ)

パンデミック小説といえば感染症に対する社会の機能的な応答が描かれると思うが、本書はそういう話ではない。感染症への対策が失敗した社会がどのように変容するかを描いたディストピア小説だ。それも最高の。2020年に読むにふさわしい名作。

エッセイ部門:休戦(プリーモ・レーヴィ)

アウシュヴィッツからイタリアに生還した筆者の、解放から帰国までの旅路について。様々な人間が非常に、非常に豊富な表現で、ときにユーモアを交え描かれておりすばらしい。

料理部門 亡命ロシア料理(ピョートル・ワイリ, アレクサンドル・ゲニス)

料理の本なのか、望郷の本なのか、西側文明への皮肉まじりのラブコールなのか、まあとにかく面白い。とりあえず壺でも探しにいくか。

百合SF部門:ツインスター・サイクロン・ランナウェイ(小川一水)

裏世界ピクニック5と迷ったが。

技術書部門:達人プログラマー第2版(Andrew Hunt, David Thomas)

(まだ読み終わっていないが、今年のうちに読み終わるはず)

伝説の名著が改版されたのでまた買って読んでいる。私は仮にもプログラマとして10年くらいやっているので、想像も付かないような内容というのはほとんど出てこない。口の悪い人なら当たり前のことばかりが書いてあると言うかもしれない。出てくる項目はほとんどすべて、「わかる、そういうことあるよね、、、」となるようなことばかりだ。

しかし、ここに書いてあることをすべて暗記して常に述べられるようにするというのは簡単なことではない。「言われれば思い出す」ような教訓がいつでも手に取れる状態で良くまとまっていれば、それは拠り所として常に私たちを助けてくれることだろう。

ちなみに、リアクティブプログラミングとかも出てきて、内容もそれなりにアップデートされているので心配はいらない。