さて、前のエントリを読んで頂いた方は、すでにカメラ機材の詰まったバッグと三脚が目の前にあることと思います。後半戦は、実際に撮る話をします。

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NEX-5R / Touit 12mm / 12mm / ISO 1600 / F2.8 / 13.0sec.

どこでいつ撮るか

場所は、都市から離れていているところ。光害があるので。風景もいっしょに撮るなら、風景もいいところ。なんかいいところあったら教えてください。富士山周辺に行くことが多いので、おすすめ場所をまとめておきました。

 

富士山 須走口五合目

標高が高いので、とにかく星が綺麗。望遠鏡とかもって観測する人に大人気。何もないただの砂利の駐車場。景色はまったく面白くない。純粋に星を眺めるならここ。

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須走口から富士を望む

富士山 御殿場口五合目

須走ほど標高が高くないが、十分高い。一応お情け程度のトイレがある。駐車場も舗装されているので快適。景色はまあまあ。山がでかい。あと、北西の方向に街灯があり、うっとうしい。

定番のオリオン
定番のオリオン
富士山にアンドロメダと流星を添えて
富士山に流星を添えて

 

上記2カ所は冬期(11月末~4月)通行止めになるので、公式サイトをチェックすること。また10月くらいになると死ぬほど寒く、明け方には氷点下になることも。うっすら雪が積もってたときはとにかくきつかった。

 

本栖湖裏

本栖湖周辺はキャンプ場しかないのだが、湖畔から登山道を30分ほど登っていくと、1000円札裏の絵の元となった風景が見られる展望台に出られる。 参考: http://www.navi-city.com/tokusyu/tokusyu_satsu.html ここは非常に風景がよいのだが、完全な闇の中登山道を30分ほど登っていくしかないので一人だと精神的にむちゃくちゃ厳しい(経験談)。ちなみに真夏の満月の夜にしか行けなかったので、寒くはなかったが結果はいまひとつであった。いつか冬にリベンジしたいのだが、担げる程度に荷物を抑える必要があるので、冬は厳しそうである。

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夏の本栖湖と富士

田貫湖周辺

田貫湖に映る富士がみえる。この記事冒頭の写真と、前記事の動画(2つめ)は、ここで撮ったもの。関東からだと遠い。たまたま行った夜が、雲一つ無い最高の夜だったのでした。

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櫛形山南

本に載っていた簡単な地図を便りに行ってみた。車1台分の幅しかなく、落石のあるような山道を2時間近く登っていくと小さな駐車場があり、簡易展望台のようなかたちになっていた。前記事冒頭の写真と動画(1つめ)はここで撮ったもの。同好の士が何人かいらした。ちなみに日の出シーンの方が人気らしく、3時くらいになると人がふえてきた。とにかく遠い。ここに行った夜もとにかく天気がよくて、興奮しっぱなしだった。

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雲海と星々
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日の出

山梨県 全国育樹祭記念広場

山梨にある公園。比較的きれいなトイレと駐車場がある、だだっぴろい芝生の公園。富士山を望む景色がよい。

行ったときはクソみたいに曇ってた
行ったときはクソみたいに曇ってた

 

まあここまでがんばらなくても、とりあえず郊外に出ればOKです。

いつ撮るか

空気の澄んだ晴れた新月の日に撮るのがベスト。月があるとそっちの方角の星がまるごと見えなくなってしまうので、論外です。せめて、三日月くらいの日までにしておきましょう。

天気ばっかりはどうにもなりません。日頃の行いを高めましょう。雲量の予報はお約束のGPV気象予報で。左の[雨量・雲量]を選ぶと雲の量がわかります。平地の天気と違うことも多いので、可能ならまずは行ってみるスタンスで。

撮影設定

まず設定を見直します。当然ですがMモード、MF。あとからLightroomなどでいい感じにノイズを消せたりするので、RAW撮影がおすすめです。

雑に言えば、撮れる画像の明るさはシャッタースピード・絞り・ISOのかけ算で決まります。つまり星をたくさん写すためにはSSを長く、絞りを開き、ISOを上げる、という方向に設定すればよいわけです。

まずSSですが、長すぎると星が動いてしまって点として写らなくなります。この星のぶれっぷりは星の位置やレンズの焦点距離、センサーのサイズ・画素数によって決まるので一概には言えません。1枚撮るごとに拡大して確認しながら時間を調整していきましょう。広角だと一つの目安として8~10秒くらいが流れない目安になります。

次に絞りですが、とりあえず開放(最もF値が小さい)で撮りましょう。一番明るいので。しかし開放のデメリットとしては画質があまり良くないことが多いというのがあり、これも画像を確認しながら絞りを調整していくしかありません。画像中央と比べて周辺が暗くなったり、端の星の形が点でなくなる、などが気になるようでしたら少し絞ると改善することが多いです。カメラ本体とセットになっているレンズだと開放F3.5というのが多いかもしれません。もちろんこれでも撮れますが、F値というのは口径みたいなもんなので、F1.8ならF3.5と比べて約4倍の光量を取り込めることになります。ほら、明るいレンズが欲しくなってきたでしょう?

話を戻すと、ISOは上げすぎると画像がざらざらして印象が悪くなっていきます。この程度こそがカメラの(高感度)性能というわけです。NEX-5Rとかα6000を使っているかぎりは、あとからのノイズ処理が前提ですが、ISO 1600くらいが許容できる上限ですね。α7Riiiは優秀なので6400くらいでもいいかなという感じです。これも個人の感覚なので、変えながら撮影して許せるあたりを探っていきましょう。

これは一例ですが、F2.8, ISO1600で10秒撮影して、真っ白になってしまう、あるいは星が見えない程度に背景が明るいところは空が明るすぎるということになります。もっと山奥へいきましょう。白くなってしまった写真は諦めず現像で救えるかもしれないので諦めず撮るだけとってみるほうがよいと思う。

そのほか、ショックをなくすため一眼レフであればミラーアップ撮影をしましょう。手ぶれ補正もオフ。ダイナミックレンジを調整するような機能があればそれも切りましょう。ついでに液晶の輝度も最低に落としておきましょう。まぶしいですし、バッテリも無駄ですので。

撮影手順

さて準備が出来たらまず三脚をセットします。しっかりした足場のところに。風が強い時は、三脚の脚を最後まで延ばさずに、一番細い脚をしまって使ったり、脚をより広げられる三脚であれば広げるなどして風に耐えられるようにしましょう。軽いものならストーンバッグをつかうなど。

次にカメラをセットします。一眼レフであればファインダーをのぞいて(できればライブビュー表示をして拡大した状態でMFをする)、ミラーレスであればピント拡大的な機能をつかって、星にピントを合わせます。このとき顕微鏡の授業を思いだして欲しいのですが、ピントをある程度以上外すと全く星が見えなくなります。まったく星が見えなくても慌てずにフォーカスリングを回して星を探しましょう。レンズに距離目盛りがあると、楽なのですが。もしくは遠くの街灯が見えるなら、そこにいちど合わせてから空を向けると、そう光学的な位置が変わらないはずなので、だいたいピントがあっているはず。ここから微調整をして追い込むとよい。

またこのときフォーカスリングをとにかく遠い側最大限に回したくなるが、これは無限遠を通り過ぎてしまうのでぼけた写真になってしまう。たぶん、各社そうなっていると思います。遠い側に回せるだけ回して、そこから少し戻すみたいなかんじで合わせる。

ピントを合わせたら次は構図。

ミラーレスの場合液晶に星がすべて映ることが期待できないので、1秒とか2秒とかで撮影して構図を確認しましょう。構図が決まってしまえば後は撮るだけです。手でシャッターを押すとぶれるので、リモコンか、無ければ2秒セルフタイマを使いましょう。

撮ったら等倍で確認です。ノイズが許容範囲か。ぼけてないか。星は流れていないか。構図はいい感じか。まあだいたいその場ではよく見えるので、多少ISOやF値, シャッター速度を変えて撮影しておきましょう。10秒でいけると思っていてもPCで見たらいまいちだった、的なことがよくあるので。。

そんな感じでがんがん撮っているとあっという間に朝が来ます(誇張)。

そして現像へ

僕はLightroomを使っているので、すべてそこで現像します。ノイズを消して、あとはコントラストと黒レベルをいじっていい感じに背景を黒く落として、星が際立つように。とはいえ撮影した段階で勝負はついているので、最後の悪あがきという感じですね。良い写真が撮れたら、各種SNSにドヤ顔でアップしましょう。

同じ被写体を複数枚撮影したものを合成してノイズを低減する方法(コンポジット)については別記事を書いたので参照ください。

https://blog.naotaco.com/archives/918

以上、ざっと普段やっていることをまとめてみました。素敵な写真が撮れたらおしえてください。よい撮影を!