ベストバイ2019、あるいはSigma fpレビュー

2019年はSigmaがfpを出した年だった。

はじめて買ったレンズ交換式カメラはCanonのEOS Kiss X2だった。しばらくすると大きいのが嫌になってしまい、SonyのNEX-5に乗り換えた。当時はレンズも数本しかもっていなかったので、マウントを乗り換えるのも大して苦では無かったのを覚えている。それからずっとE-mountを使ってきて、いまのメインカメラは(この記事を書いている今でも)α7Riiiだ。

(以下、本稿の写真はすべてSigma fpで撮影した、撮って出しのもの。写真が下手なのはひとえに筆者の責に帰すものであり、カメラに一切の非はない。)

クラコフの裏路地。f/4, 1/100sec., ISO100, T&O

αシリーズもずいぶん(フルサイズになったことを差し引いても)大きくなってしまい、小さいカメラが好きな私はもやもやしていた。NEX-5を小さいバッグに入れて身軽に旅行をしていたあの頃を思い出しては、いまの大きなボディのラインナップ(Sonyはボディもレンズも大きいし、Sigmaのレンズはもっと大きい)を眺めてため息をつく有様。

そんな私がfpに飛びついたのは必然だっただろう。といっても発売直後はそれなりに自制できていたのだが、旅行に出ることが決まった瞬間に耐えられなくなってしまい、夜8時ごろに家を出てヨドバシに走って買ってきた次第である。

ワルシャワ中央駅。f/2.8, 1/80sec., ISO6400、STD

ということで、12日間の旅行で撮ってきた写真とともにSigma fpのレビューを書いていきたいと思う。撮ったのは静止画、それもスナップばかりだ。レンズは45mm F2.8 DG DN Contemporary 一本。アクセサリはハンドグリップ(HG-11)と、PeakDesignのCuff。Wi-Fiがないので、FlashAirを使った。

fpの特徴と役割

私にとってのfpの役割は、常に手が届くところに存在するフルサイズカメラであるという一点に尽きる。旅行中は常に肩からたすきがけにした小さいショルダーバッグ(胸の前に保持)に小さい財布と一緒に入れていた。このように持てるフルサイズカメラは貴重だ。

こうすることで、撮る瞬間だけカメラを出してすぐしまうことができる。言葉にするとなんということはないが、異国の街頭でバックパックを下ろしてカメラをだしたり、カメラが見える状態で歩き続けるのは防犯上避けたい。撮っているときも目立たないものがいい。さっと出して目立たずに撮れるカメラをずっと探していたのだ。またfpはボディがとても頑丈な(気がする)ので、特にカバーに入れず薄っぺらいバッグに直接放り込んでいたがなんともなかった。

クラコフ中央駅のホームにて。 f/4.5, 1/100sec., ISO4000, STD

ご存じの通りfpは割り切りがすごいカメラだ。しかし何でも撮れる(ということにしておく)メインのα7Riiiが後ろに控えているから、サブカメラたるfpは割り切ってあっても全くかまわない。メカシャッターも位相差AFもないから動くものは全く撮れないが、それは仕方がない。猫を撮るのは大変だったが、それより何より小さいバッグに入ってすぐ出せることに価値がある。

もちろん基本性能がしっかりしていることは言うまでもない。高感度ノイズも少ないし、45mmはボケがきれいで寄れるから使い勝手が最高によい。ファインダーはないが液晶画面はとてもきれいで、再生していて気分がよくなる。撮って出しのJPEG画質もとても自然できれいだ。さらに、ティールアンドオレンジ(T&O)がすばらしい。とりあえずT&Oで撮っておけばいい感じになる。とにかく気持ちよく写真が撮れるカメラであることは間違いない。

シーン別、fpのよいところ

日没前の Oświęcim 駅のホーム。 f/5.6, 1/320sec., ISO100, STD

いままではα7Riiiをバックパックに入れていただけだったので、ちょっとした写真を撮るのがおっくうだった。今回はfpのおかげで、撮影する頻度が大きく上がった。カフェとか、レストランとかも。メカシャッターがないおかげで音がしないので、気兼ねなく撮れる。寄れるのでテーブルフォトにも強い。ISO6400くらいまで平気なので、寄って絞ってもかなり余裕がある。

カフェにて。 f/5, 1/100sec., ISO3200, T&O

レストランにて。 f/4, 1/60sec., ISO5000, T&O

バーガー。 f/5.6, 1/50sec., ISO2000, T&O

もちろん遠景もいける。私は広角が大好きなので遠景はα7iii(+ 14-24 DG DN)で撮っていたが、標準が使いたい時は嬉々としてfpを使っていた。

ヴァヴェル城。 f/5.6, 1/500sec., ISO100, T&O

Veliko Tarnovo 遠景。 f/5, 1/50sec., ISO100, T&O

その必要がないところでもついうっかりT&Oで撮ってしまう魅力がある(よく考えましょう)。

メカシャッターがないから動くものは歪むのかと不安だったが、このくらいなら何も気にならない。

トラム。 f/4, 1/250sec., ISO100, T&O

飛行機でも、今まではカメラをいれたバックパックごと上の荷物入れに入れっぱなしにしていたが、fpを入れた小さいバッグは手元に置いても邪魔にならない。窓から写真を撮ることは普段ならしないが、fpがあれば話は別だ。

飛行機の窓から。 f/5, 1/1000sec., ISO100, STD

しかし猫だけは厳しい。動かない瞬間を待ってひたすら撮りまくるしかなかった。コントラストAFなので、AF~撮影までずっと止まっていてくれないと撮れない。野良猫には厳しい条件だ。

Veliko Tarnovo の猫。 f/4, 1/100sec., ISO500, T&O

活気の無い、人気も無い通りを歩いているとき、今までなら堂々とカメラを出すのが憚られ早足で通り過ぎていたところだが、今回はサッと写真を撮れる。

ソフィアの街頭。f/4.5, 1/250sec., ISO100, T&O

落ち葉もけっこうT&O向きでよいと思う。

朝のワルシャワの公園。 f/8, 1/50sec., ISO1250, T&O

手ぶれ補正はないので夜景は少し苦しいが、感度を上げてなんとかすればある程度はいける。

ワルシャワの例のビル。f/2.8, 1/50sec., ISO6400, STD

まとめ

よいところ:
・小さい(ボディもレンズも)
・画質がよい(レンズも、撮って出しJPEGも、高感度ノイズの程度もよい)
・小さい
・剛性が高い
・防滴で雨の中でも気にせず使える
・質感がよい(ボディもレンズも)
・ピント合わせ後にPinPで自動拡大ができる
・小さい
・UI動作や画像の拡大縮小が軽快

いまいちなところ:
・AFが遅いので動くものが撮れない
・手ぶれ補正がない&ファインダーがないのでぶれやすい(気がする)
・フードが金属製なので、ぶつかった相手の心配が生じる
・片手で電源が入れられない(スナップ用途なのでけっこう痛い)
・Wi-Fiがない(同)
・ ピント合わせ後にPinPで自動拡大ができるが、特に夜景でフリーズが多発する。拡大をOffにしたら起きなくなった

総じて、スナップ用のカメラとしては最高です。買いましょう。

ビルケナウ。 f/5.6, 1/200sec., ISO100, STD

余談だが、レビューと称してカメラ自体の写真を貼りまくったり、スペック表を丸写しにしたりするような記事が多くて辟易していたのがこれを書いたモチベーションみたいなところがある。カメラなんだからそれで撮った写真を貼ってほしいし、撮影の体験について書いてほしい。また私は自腹を切って買ったものしかレビューとは認めません。この記事はSigma株式会社とは一切関係なく、fpは個人で購入して書いています。まさか勘違いする人はいないと思いますが、念のため。