今をときめく4K HDRモニタを買った。

32UD99-Wについて買う前に一通りぐぐってはみたが、驚くほどユーザレビューが見つからない。国内は未発売だから当然としても、Amazon.comでも、B&Hでも、どっかしらにあるだろと思うがとにかく見つからない。これはもしかして例のブラックボックス展示みたいなやつか、などという考えが脳裏をよぎるが深いことは考えずに買うしかなかった。迷ったら進め。

[amazonjs asin=”B073S5HDGY” locale=”JP” title=”LG モニター ディスプレイ 32UD99-W 31.5インチ/4K(3840×2160)/HDR対応/IPS非光沢/USB Type-C、HDMI×2、DisplayPort/スピーカー搭載/高さ調節、ピボット対応”]

スペック面での目玉はHDR対応とUSB Type-CのDP Alt modeへの対応というところだろうか。そもそも私のビデオカード(MSIのGeForce GTX1060 6GB)はDP/HDMI/DVIしか対応していないので、後者のUSB-Cについてはどうでもよかった。なんといっても気になるのは4K HDRでどんな映像が見られるのかというところだろう。とはいってもゲームもBDプレーヤーも持っていないから、Photoshopが10bit colorで使える(らしい)くらいしか恩恵がないっぽいのだが、そんなことはどうでもよいのだ。そもそもUHD BDをPCで再生するためには対応マザーボードとIntelの対応CPUの内蔵グラフィックでの出力が必要とかなんとかで、当面無理そうな感じがする。NVidiaがんばって。

Unboxing

さて、予定では発売が28日だったはずだが、実際にAmazonやヨドバシ含め小売店に入荷したのは29日だったらしく、アキバでの店頭にも29日から並びだしたようだった。Amazonで初日に予約した私の所には29日深夜に発送され、31日に到着した。

でかい

お約束通り、モニタ、アーム、スタンドの3部品に別れて入っているので組み立てていく。組み立て方については何も悩むところがないが、でかい上にベゼルが狭いので持つ場所に気を遣う。

同梱品

同梱品はDP, HDMI, USB-Cの各ケーブル、ACアダプタなどに加え、USB-Cメス-USB-Aオスという禁断の変換コネクタも含まれていた。コネクタのことは置いておいて、各種ついているというのはありがたい。

USB-Cケーブル近影

ケーブルはE-markerつき。せっかくなのでUSB-C警察よろしくテストしてみたいがUSB-Cのテスト基板が手に入らなかったんだよな。どこに売ってるんだろうか。

接続も特に悩むことなく完了するが、ACアダプタが冗談のような大きさと重さで懐かしい気持ちになる(気付いていない方のために申し添えると、同梱品の画像の、左下の白いでかい箱がそれだ)。私の机の天板下にはACアダプタを入れられるスペースがあって、昔はモニタのアダプタとかがごろごろしていたものだが、最近はなにもなく寂しそうにしていたので、このアダプタが転がり込んで喜んでいるかもしれない。しかし問題はアダプタから出ているDC側ケーブルが1mしかないことで、けっこう接続がギリギリになって焦った。場所によっては要注意。

質感が安っぽいというのはよく言われていたがまさにその通りで、背面の光沢ホワイトはかなり受け入れがたい。しかし正面から見える縁はシルバーで、液晶の外縁部も当然黒なので、白い部分は見えず特に問題はない。足のプラスチックシルバー(適当に命名した)も微妙っちゃ微妙だが、質実剛健プラスチックブラックと大差ないだろう。総じて、画面がでかくてベゼルが細いので余計な物は目に入らず気分がよい。

 
 

27→32インチなので体感は一回り大きくなったくらい(棚を1段階上げた)。

実動作

私のPC環境は過去エントリ参照。別にHDMIでもよいが、元のモニタもDPだったので、以前使っていたケーブルが既に引っ張ってあるということもありDPで接続する。すると付属のケーブルを使えとモニタが警告を出してきた。無視して使い続けていたところWindowsも同じようなことを言ってきたので、これはまずいということで付属のDPケーブルにつけかえるとエラーは出なくなった。60Hz出ていたように見えたので、きっと1.3のケーブル(HDR非対応)だったんだろう。

さらに、マザーボードにあるUSB3.1(Type C)コネクタが余っていたので、背面のUSB3.0ダウンストリームポート(完全に背面なのでマジで使いづらい)を使うべくUSB-Cケーブルを接続してみたところうんともすんとも言わない。2,3回刺し直していると認識することもあるがWindowsがすぐに認識失敗やケーブルを確認しろなどのエラーを出してくる。これはマザーボード側の問題あるいは相性かもしれないのでなんともいえないところである。前出の変換コネクタでTypeAポートにつないだところ動いているようには見える。べつにポートには困ってないから使わないでおこうと思うが、OnScreen Controlでファームウェアをアップデートしようと思うと接続が必要らしい。うーむ。

フォームウェアのアップデートとやらが可能

アップデートが既にあるかのような言い草だが、実行を押すと最新ですと出るだけ。

特に問題なく4K 60pで表示された。UI表示倍率は125%にした。非常に快適である。

HDR

さて問題のHDRである。率直に言ってWindows10におけるHDRの挙動は謎しかない。

まずOSの正式対応がCreators Updateで入り、HDR対応モニタをつなぐと画面設定にHDR and advanced colorというのが出てくるようになっている。これをOFFにすると、画面の見た目は通常通りになる。これをONにすると、色が全体的に褪せたような感じになり、実用に耐えない。

HDR設定

明らかに何らかの設定がうまくいっていないのだろうと思ってモニタの設定をいじるが、HDRをONにしていると明るさ以外の画質設定が一切調整できないことが判明。OnScreen Controlでもコントラストの操作が無効になるからそういうもののように見える。パネルの階調を使い切っちゃうから調整の余地がなくなるとかそういうやつなのかしら。

さらにわけがわからないのが、NVIDIA Control Panelでは10bitの設定がHDR設定によらず常時可能であるということ。

8/10bitを選べる

まったく関係性がわからん……。ちなみにこっちの設定はいじっても見た目の変化があまりない。設定にはGPUがディスプレイに送る色深度を変更すると書いてあるが……。

期待値としては、10bitに対応しているアプリの描画は10bitのまま、8bitでしか描画しないアプリは10bitにアップスケーリング?して10bitとしてモニタに送るような動作を期待しているのだが、どこかがうまくいっていない気がする。画面設定のHDRをONにしたら表示がクソになったというようなことを言っている人は他にもいるので、追々更新されるか正しい使い方がわかってくるだろう。。

ちなみに現在だとWindows版Lightroomは8bitのみ、Photoshopは10bitに対応している。PhotoshopはPreferences -> Performance -> Advanced settings -> 30Bit Display で有効にできるが効いているのかよくわからん。。Lightroomの対応が待たれる。

HDRについてはWindowsの将来の改善待ち(あるいは正しい情報の提供)しかない?ひとまずHDR設定はOFFのまま使うしかなさそう。

ちなみに動画を再生しながらHDRをON/OFFしていたらブルースクリーンで落ちた。するとそのあとはDPをつなぐと必ずフリーズするようになってしまい絶望したのだが、GeForce Experienceからドライバをreinstall(perform clean installをあとから選ぶ)したら無事復帰した。

色調整

2017/08/03追記:

i1 Display Proが届いた。ド素人カメラマンには豚に真珠であるが、手動でモニタの色調整をする根性がないのだから仕方がない。さて、これでディスプレイの色調整をすると実に簡単に適切な色になる。デフォルトのどぎつい色にはおさらばである。環境光も測定してくれて適切な明るさ(120cd/m2くらい)にしてくれるし言うことがない。サブディスプレイとして置いている10年前に15000円くらいで買った適当なモニタとも見た目が大体合って良い感じ。

ただし、この調整はHDRのときにはできない。正確には、i1 Profileを使うとプロファイルの作成はできるが、それを反映しても色が一切変わらない。True Color Proを使うとキャリブレーションの途中で失敗する。後からWindowsのDisplay settingsでColor profileの設定もできるのだが、HDRがOnのときは何を選んでも見た目が変わらない。Offのときはちゃんと変わるのだが。

せっかくプロファイルを作成したので、sRGBとAdobe RGBのカバー率を計算してみた。i1 Display Proで作成したプロファイルをColorACというフリーソフトで読み込むと色空間上にマップして、カバー率の計算もできる。

32UD99 vs. sRGB/Adobe RGB

黒の実線が32UD99の測定値で、青い点線がsRGB, 白い点線がAdobe RGBである。sRGBのカバー率は99.8%, Adobe RGBのカバー率は83.7%だった。カバー率は両方に含まれる面積の割合のことらしい。単なる面積比はsRGB比, AdobeRGB比という表現(販促用語?)になるらしく、これはそれぞれ128.1%, 94.9%ということになる。詳しいことはなにもわかっていないのだが、sRGBかAdobeRGBかどっちかに合わせに行った方がよいのでは?と思うがよくわからん。

これはHDRが正しく使えると広くなるのか?あるいは分解能が上がるだけなのか、どっちなのだろうか。。

問い合わせ

2017/08/03追記:

HDR ON時にモニタで設定ができなくなり、プロファイルの設定がきかない件についてLGのサポートにメールで問い合わせた。あと、ONにすると一気に色が薄くなり階調が潰れる件についても。返事待ち。

USB Type-C接続(2019/01/13追記)

デスクトップPCを使っている限りはどうでもよかったのだが、ノートPCの環境を更新したところUSB-Cで接続することが増えたのでいろいろ試したところ、めちゃくちゃ便利だったので感動した。

DP Alt modeで4K/60p入力が可能なのであるが、同時に60W PD充電ができるのである(知らなかった)。なので、これに対応したノートPCにつなぐと、1本だけでノートPCへ給電しつつ4K出力ができる。すごい。

ThinkPad X1 Carbon 6thとHP Elitebook 830 G5でこの動作を確認している。

まとめ

よいところ:

  • 4Kの高精細画面で写真編集が捗る
  • 32インチというちょうどよいサイズ
  • IPS液晶
  • 画素欠け・常時点灯もなさそう
  • ベゼルが細い(顔認証カメラが置けなくなった)
  • ケーブルが全て付属
  • ハードウェアキャリブレーションに対応しているのでいい感じにやってくれる(HDR Off時)
  • USB Type-C 接続で60W PD出力&4K/60p入力が同時にできる

わるいところ:

  • 背面がえらく安っぽい(どうせ見ない)
  • いまどき馬鹿でかい外部電源(ACアダプタ)
  • ACアダプタから出ているケーブルが1mしかない
  • ちょっと高い

わからないところ:

  • USB接続が不安定(PCとの相性かもしれない)
  • HDR ONだと画質設定ができないように見える(問い合わせ中)
  • HDR ONだと色が褪せたような感じになり、かつ階調が潰れる(問い合わせ中)

LGへの問い合わせ

Windows10にて32UD99を使っています。接続は付属のDPケーブルです。また、付属のUSBケーブルでPCの通常の(DP Alt mode非対応の)USBポートに接続しています。 WindowsのDisplay settingsに、”HDR and advanced color”という項目があり、これをOnにするとHDRが有効になりますが、このとき次の3つの点で違和感があります。Offの時は特に問題がありません。 1. 明るさ以外の画質設定が全て操作不能になる 2. PC上の設定でColor profileを変更しても反映されない。また、ハードウェアキャリブレーションの結果も反映されない。 3. 画面の色合いが強く色あせたような見た目になり、階調も失われ実用に耐えない 1および2について、画質を手動で変更する、あるいはハードウェアキャリブレーションを実行する方法を教えていただきたいです。また3について、私の環境(末尾参照)において見た目が適切に表示されるWindowsあるいはモニタの設定を教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。 PC環境(自作PC): - Windows10 Creators Update - AMD Ryzen 1700X - GeForce GTX 1060 (GeForce Driver ver. 384.94)

と問い合わせたところ、下記のような返信がきた。(Gmailのプロモーションタブに入っていて気付かなかった)。

xx様 お問い合わせ頂きありがとうございます。 こちらはLG Electronics Japanでございます。 モニターにつきまして、ご案内させて頂きます。 お伺いしております内容につきまして、いくつかご質問をさせて頂ければと存じますが、 下記内容をご確認の上、ご返信頂けますでしょうか。 ・ご使用のマザーボード: ・CPU: ・メモリ: ・接続のケーブル: (例;HDMI2.0a等) またお手数ではございますが、色合いの状況を何枚か写真に撮って頂き、 返信して頂けないでしょうか。 恐れ入りますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

CPUと接続方式については書いたんですが(VGAは聞かなくてよいのだろうか)、、、まあとりあえずテンプレ返信で時間を稼ぐというやつでしょうか。さらに「 ※本メールは配信専用ですので、このメッセージには返信しないようお願いいたします。」とあるのでWebのフォームから返信しようとするが、画像添付する場所がない。仕方ないので、ブログに張ってURLを送ることにした。

HDR ON/OFF比較画像

パターン1 Lightroomの現像画面

HDR ON
HDR OFF

パターン2 標準Photoアプリでの画像表示&Windows UIのAccent color

HDR ON
HDR OFF

改めてみると色あせてるというかシンプルに階調がぶっ壊れているという感じですね。この症状自体はHDRをONにすると起きると他のHDR TVを使っている海外のユーザも言っているので、Windowsの設定あるいは仕様の問題だと思うのですが、設定で回避できるのか伺いたいところです。

ついでに、現在のDisplay settingsとHDR and advanced color settingsの状況も確認しました。

Display settings
HDR and advanced color settings

Advancedにもほどがある。

ということで、再度連絡待ち。